さいたま市の小林荘友ギター教室 教室用新ギター教本(青本)解説
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 教室用新ギター教本(青本)解説|小原安正監修・ギタルラ社


練習24 Valce F. Carulli

出典
Carulli, Ferdinando. Méthode complette pour guitarre composée expressement pour l'enseignement de son fils Gustave par Ferdinando Carulli Op.27. Paris, Launer, n.d. (1829?), p.11-12. (Quatrième Edition)
F. カルリ 「フェルディナンド・カルリによって彼の息子グスタボ教育のためことさらに作曲されたギターのための完全な教則本」(第4版)

 初版は1810年か1811年くらい(※1)と言われています。グスタボは1801年生まれですので初版の時は10歳くらいです。グスタボも音楽家となります。

原文(フランス語)と和訳

 Chaque instrument a ses tons favoris: on peut jouer sur la Guitare dans tous les tons; mais ceux qui lui conviennent le mieux sont La majeur et mineur, majeur et mineur, Mi majeur et mineur, Ut, Sol, Fa. Les autres sont difficiles; ainsi j'ai noté les Gammes, les Accords et Exercices, et les morceaux suivants dans les tons les plus usites et les plus faciles pour les commençans.

GAMMES, ACCORDS, EXERCICES,

Et Morceaux progressifs en differens Tons les plus usités à la première position.

NOTA. Les chiffres n'indiquent que les doigts de la main gauch. Les notes avec une double queue doivent être pincées avec le pouce de la main droite.

 それぞれの楽器にはお気に入りの調があります。ギターは全ての調において演奏できますが、最もふさわしい調はイ長調とイ短調、ニ長調とニ短調、ホ長調とホ短調、ハ長調、ト長調、ヘ長調です。他の調は難しいので、初心者のためにより使われてより簡単な調の中で音階、和音と練習曲そして次の曲を書きました。

音階、和音、練習曲

そして、1ポジションで最も使われている異なった調による漸進的な曲

 注: 数字は左手の指しか示していません。二重の符尾(※2)を持つ音符は右手の親指で弾かれなければなりません。

解説

 変奏2でわずかに運指がつけられていますが、ほかに運指は示されていません。また、二重の符尾を持つ音符とは低音のことですが、低音を別の声部としては書かず低音弦を弾く時はpで、それ以外に高音弦でpを弾く必要がある時のみ、二重の符尾を持つ音符で書いているようです。青本のように低音を別声部で書いた方が分かりやすく、運指も青本のように弾くのがよいと思います。
 Var.2の8小節目にある上声部のドはOp.27には書かれていません。青本にあるこの2つのドは「外声間かつソプラノの跳躍進行によって生じる並達8度」(※3)となり和声の禁則に触れるため間違いです。Op.27のように低いドだけで弾いてください。


出典その2
Carulli, Ferdinando. Méthode complete pour parvenir à pincer la guitare, par les moyens les plus simples et les plus faciles, suivie de 44 morceaux graduellement progressifs & six etudes, Dédiée à messieurs les professeurs & amateurs de cet instrument Op.241. Paris, Launer, Ed.6, n.d.(ca.1825), p.18.
F. カルリ 「最もシンプルかつ簡単な方法でギターが弾けるようになるための完全な教則本 漸進的に進む44の曲と6つのエチュードに沿って この楽器の専門家と愛好家の皆さんに捧げます」

 Op.241のメソッドの中にも同じ曲の扱いがありますが、こちらでは低音を別の声部で書いています。運指は付けられていません。また、変奏の部分はなくテーマだけの掲載です。曲の前に書かれている説明やタイトルのうちOp.27とは注だけが違い以下のように書かれています。

原文(フランス語)と和訳

 Nota. Lorsque l'on trouvera le mot Pouce posé dessus ou dessous une note, cette note doit être doigtée avec le pouce de la main gauche, par derrière le manche, c'est à dire du côté opposé aux autres doigts,
 Les notes qui représentent la basse et qui ont la queue tournée en bas, doivent être pincées toutes avec le pouce de la main droite.

注:音符の上や下に「親指」という言葉がある場合、この音符は左手の親指で、ネックの後ろ、つまり他の指とは反対側に指をかけなければなりません(※4)。 低音を表わす符尾を下にした音符は、すべて右手の親指で弾いてください。

※1 「Ferdinando Carulli」(2022年1月20日08:47 UTCの版)『ウィキペディアフランス語版』では1810年。https://fr.wikipedia.org/wiki/Ferdinando_Carulli
Méthode complète, Op.27 (Carulli, Ferdinando) 『IMSLP』では1811?年。https://imslp.org/wiki/M%C3%A9thode_compl%C3%A8te%2C_Op.27_(Carulli%2C_Ferdinando) ※2 音符の棒を符幹、旗を符尾と別けて呼ぶこともありますが、ここでの「符尾」は棒と旗を別々に分けず一緒にして「符尾」と訳しました。
※3 島岡譲執筆責任.『和声 理論と実習Ⅰ』.音楽之友社,1964,p.28,p.115-116.
※4 教則本の他のページの曲にpouce(親指)と書かれている箇所がありますが、左手を握りこみネックの上側から親指で押さえることです。現代のクラシックギターでこの奏法を見ることはほぼありませんが、エレキギターやアコースティックギターではよく使われます。

オリジナル楽譜(浄書)

F. カルリ 「フェルディナンド・カルリによって彼の息子グスタボ教育のためことさらに作曲されたギターのための完全な教則本」(第4版)11-12ページ1 F. カルリ 「フェルディナンド・カルリによって彼の息子グスタボ教育のためことさらに作曲されたギターのための完全な教則本」(第4版)11-12ページ1 F. カルリ 「最もシンプルかつ簡単な方法でギターが弾けるようになるための完全な教則本 漸進的に進む44の曲と6つのエチュードに沿って この楽器の専門家と愛好家の皆さんに捧げます」18ページ1
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