J.S. バッハ「インヴェンション第1番」解説と当時の演奏法
ギターアレンジと装飾音を中心にInvention 1
はじめに
バッハの作品をギターで演奏する場合、リュート曲のほかバイオリンやチェロなどの弦楽器作品をギターのために編曲して弾かれることが一般的です。しかし、バッハ自身はクラヴィーア(鍵盤楽器)やオルガン演奏の名手(※1)で、生涯に数百曲も鍵盤作品を作曲しています(※2)。そのため、ギターでバッハの鍵盤作品を演奏することは、バッハの音楽をより深く理解する上で有益であると考えました。
今回は、バッハの鍵盤楽器のための基本とも言える「インヴェンションとシンフォニア」の中から、インヴェンション第1番を取り上げギター二重奏へ編曲しました。1723年の自筆譜を基に、当時の資料や後の研究・文献を参考にし、ギターでのバッハ演奏法について考察しています。具体的には、曲の成り立ちや序文の解説、アナリーゼ、フレージングとアーティキュレーション、装飾音、ギターでの表現方法について詳述しています。
この内容はレッスン用に作成した教材ですが、体系的にまとまったため、より多くの方に役立ててもらえるよう、サイトにアップしました。
J.S. バッハ「インヴェンション第1番」解説と当時の演奏法:ギターアレンジと装飾音を中心に
目次
※1、寺本まり子.「オルガン」.角倉一朗監修.『バッハ事典』.音楽之友社,1993,p.76-78.
尾山真弓.「クラヴィーア作品」.角倉一朗監修.『バッハ事典』.音楽之友社,1993,p.140-142.
市川信一郎.「鍵盤楽器」.角倉一朗監修.『バッハ事典』.音楽之友社,1993,p.167.
※2、Dürr, Alfred and Kobayashi, Yoshitake (eds.). Bach Werke Verzeichnis: nach der von Wolfgang Schmieder vorgelegten 2. Ausgabe. Kleine Ausgabe, Wiesbaden, Breitkopf & Härtel, 1998, p.311-406. によると、オルガン曲(BWV525-765、1085、1090-1095、1097-1120、1121、957、766-771)、クラヴィーア曲(BWV772-994)